マイナンバーと偽名による不正受給について

マイナンバー制度の導入以前は、偽名を使用した社会保障関係の給付金の不正受給の問題が多発しておりました。

マイナンバーと偽名による不正受給について

 

しかし、マイナンバー制度の導入は、この問題の解決に一役買うことが期待されています。

 

そこで、以下では、偽名を使った不正受給の仕組みと、マイナンバーがそれを防止する仕組みについて解説します。

社会保障給付金等の不正受給と偽名の使用

社会保障給付金等の不正受給と偽名の使用

会社が従業員に給与を支払った場合には、会社から税務署や本店所在地の市区町村に給与支払調書(給与所得の源泉徴収票)が送付されます。

 

行政機関が、普通のサラリーマンである例えばAさんの収入や所得を把握する際には、原則として、会社から市区町村等に送付される支払調書等を利用します。

 

しかし、生活保護や健康保険の不正受給のため、又は脱税のために、行政機関に収入が正確に把握されないようにしたい方々も中にはいます。
そのような方々は、会社に対して偽名を申告する場合があります。

偽名を使った健康保険の不正受給の例について

例えば・・・
AさんがX社とY社に勤務していて、X社に対しては本名(A)を報告し、Y社に対して偽名(B)で報告したとします。
なお、X社からの給与が125万円/年、Y社からの給与が25万円/年であったとします。

 

ここで、例えば、Aさんが健康保険の被扶養者となる届出をしたとします。
健康保険の被扶養者となるためには、年収が130万円/年未満でなくてはなりません。

 

Aさんは、1年間の収入を、X社からの収入である125万円を申告すれば、健康保険の被扶養者になることができます。

 

この際、Aさんは、Aさんの住所地の市区町村で発行する所得(収入)証明書を添付しなくてはなりません。

 

この証明書は、Aさんの名前で作成される各種の収入の支払調書に記載された収入を合計して作成します。

 

本来であれば、Aさんの年収は、X社からの125万円とY社からの25万円を合算して150万円となるはずです。
収入が150万円/年の場合には、健康保険の被扶養者になることはできません。

 

しかし、Y社からの支払調書はAさんが使っている偽名Bを用いて作成されていますから、Aさんのものとは判断されません。

 

よって、会社に偽名を報告したAさんは、収入を低く見せかけることによって、本来はなることのできない健康保険の被扶養者になることができました。

 

健康保険の被扶養者なれば、保険料を負担することなく医療保険サービスを受けることができますので、これも不正受給となります

マイナンバーが偽名によるなりすましを防ぐ仕組みについて

マイナンバー制度が導入される前は、給与支払先に偽名を報告することによって収入をわざと低く見せかけることによって、社会保障に関する給付を不正受給することが可能でした。

 

しかし、マイナンバー制度が導入されると、会社に税金に関する書類(年末調整に使用する扶養親族届等)を提出する際に、マイナンバーの提出と、マイナンバーカードや運転免許証等による本人確認が義務付けられました。

 

これによって、会社で偽名を使用することが不可能になりました。

 

マイナンバー制度の導入により、結婚等で氏名が変更になった場合や住所を変更した場合に、給与等支払調書等の個人照合が困難になるという問題が解決し、税務当局が正確に個人の収入を把握できるようになります。

 

そして、これに加えて、偽名を使用して別人の給与等支払調書を作成することで、わざと収入を低く見せかけることもできなくなります。

 

これも税務当局が正確に個人の収入を把握することに役立ちます。

 

さらに、マイナンバーを仲介にして税務当局と社会保障関係の給付金の支払先が情報連携を行いますから、社会保障関係の給付金の申請者の年収を、それらの給付金の支払先が正確に把握できるようになり、

マイナンバーが偽名によるなりすましを防ぐ仕組みについて

 

それらの給付金の不正受給を大幅に減らすことができると考えられています。

 

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