マイナンバーと配偶者控除について
配偶者控除とは、納税者に年間の合計所得金額が38万円以下の生計を同じくする配偶者がいる場合、納税者本人が確定申告や年末調整の際に38万円の控除を受けられるという制度のことをいいます。
以下では、マイナンバーとこの配偶者控除の関係について解説します。
配偶者控除とは
確定申告や年末調整の際に、納税者は、本人及び配偶者やその他の扶養申告のマイナンバーを会社に提供しなくてはなりません。
そして、会社は、税務署に提出する源泉徴収票にそのマイナンバーを記載します。
よって、税務署では、本人及び配偶者などのマイナンバーを確認できます。
納税者が確定申告や年末調整の際、配偶者控除の対象となる配偶者がおり、配偶者控除を適用して税金の申告を行った場合、税務署では納税者の配偶者の合計所得金額が38万円を超えていないかどうかを調査します。
今までの調査は、納税者の配偶者の氏名、住所、生年月日などから配偶者の確定申告書や配偶者にパート収入がある場合には、会社から送付されてくる源泉徴収票等を検索し、合計所得金額が38万円以下であるかどうかを確認します。
配偶者が2か所以上の事業所から給与収入を受けている場合について
例えば・・・
- 納税者の配偶者が2か所以上の事業所から給与所得がある
- 主たる事業所からの給与所得では1年間の合計所得金額が38万円を超えない
- しかし、2つの事業所から受ける給与収入を合計すると、合計所得金額が38万円を超え、納税者が配偶者控除を受けられない
このようなケースはどうでしょう?
納税者の配偶者は、従たる事業所に対して虚偽の生年月日を報告し、かつ、確定申告をしなかったとします。
この場合、今までであれば納税者が配偶者控除を受けても、税務署ではそれが脱税であることに気付くのは容易なことではありませんでした。
それは、納税者の配偶者が従たる事務所から受けた給与所得に対する源泉徴収票には虚偽の生年月日が記載がされていた為です。
虚偽の生年月日が記載されたことで税務署が主たる事務所と従たる事務所の源泉徴収票を同一人物のものであると判断できません。
その為、合計所得金額を主たる事務所からの源泉徴収票に記載されている38万円以下の金額と判断してしまうのです。
配偶者控除に関する脱税は非常に難しくなる
マイナンバー制度が導入されると、まず、マイナンバーの提出の際に本人確認が行われるため、納税者の配偶者が従たる事務所に対して虚偽の生年月日を報告することができなくなります。
また、マイナンバーによって、同一人物に属する源泉徴収票の検索が非常に簡単になります。
その結果、納税者の配偶者が確定申告を正確に行わなくても、税務署の方で納税者の配偶者の合計所得金額を正確に把握できるようになります。
すると、納税者の配偶者の合計所得金額が38万円超であるにもかかわらず、納税者が配偶者控除の適用を受けていたりすると、税務署ではすぐにそれを把握します。
よって、今までは通用していた脱税方法が今後は通用しなくなるのです。
今後は、納税者の配偶者の合計所得金額のごまかしがきかなくなりますので、納税者の配偶者の合計所得金額が本当に38万円以下でないと納税者が配偶者控除の適用を受けることができなくなります。