マイナンバー法改正について
マイナンバー法は、平成25年5月に公布(発表)され、実際の運用は、平成28年1月1日から始まりました。
この法律は、運用開始の直前の平成27年9月に法律改正が行われました。
以下では、この改正の内容について解説します。
利用分野を限定されて制定されたマイナンバー法
マイナンバー法は正式名称を、「行政機関における特定の個人の識別するための番号等に関する法律」といいます。
この法律が公布されたのが、平成25年5月31日ですが、この法律の施行は、平成27年10月5日、一部が平成28年1月1日となっています。
当初のマイナンバー法は、個人のマイナンバーに対する利用範囲を、社会保障分野、税分野、災害対策分野の3つの分野に限定しておりました。
よって、国民総背番号制のように、あらゆる分野において個人番号が利用されることはなく、マイナンバーの利用分野は一部に限られます。
平成27年9月のマイナンバー法改正について
平成27年9月にマイナンバー法の改正が行われました。
この改正の主な内容は次のとおりです。
- 特定健診の結果に関する情報をマイナンバーを利用して共有する
- 予防接種の履歴情報をマイナンバーを利用して共有する
- 平成30年から預金口座へのマイナンバーの適用を任意で開始する
マイナンバーへの特定健診データの紐つけについて
特定健診とは、医療保険に加入している40歳以上74歳未満の者を対象として、生活習慣病(糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞等)を原因とした病気の予防のために行う健診のことをいいます。メタボリックシンドローム(内臓脂質症候群)に着目した検診なので、別名をメタボ検診といいます。
特定健診の主な内容は、次のとおりです。
- 問診(服薬歴、喫煙歴等)
- 身体測定(身長、体重、腹囲、BMI)
- 検尿(尿糖、尿たんぱく)
- 血液検査(肝機能検査、血糖値検査、脂質検査)
要件に該当する方が特定健診を受けると、上記の検査項目の結果が残ります。
マイナンバーへの特定健診履歴の紐つけが行われると、それらの特定健診の検査結果は、マイナンバーを利用して引き出せるようになります。
マイナンバーへの予防接種データの紐つけについて
現在の日本では、肺炎球菌や日本脳炎、風疹、水痘、インフルエン等の予防接種が行われておりますが、今回のマイナンバー法の改正で、マイナンバーに対して、それらの予防接種の履歴データの紐つけが行われることになります。
マイナンバーへの予防接種データの紐つけが行われますと、
例えば・・・
A市に住むAさんがB市に転居した場合、B市では、Aさんのマイナンバーを利用してAさんの予防接種の履歴情報を調査し、未だにAさんが受けていない予防接種に限定して、予防接種の案内を することができるようになります。
マイナンバーへの予防接種データの紐つけが行われる前でしたら、Aさんの移転先のB市は、Aさんの予防接種履歴にかかわらず予防接種の案内を送ることになり、Aさんが既に受けている予防接種の案内を送れば、その案内は無駄になります。
しかし、マイナンバーによる履歴の共有が行われれば、そういう無駄はなくなります。
マイナンバーへの預金口座情報への適用について
今回のマイナンバー法の改正で、平成30年から、任意で、マイナンバーへの預金口座情報の適用が開始されることになりました。
具体的には、金融機関に対して預金口座を保有している個人や法人に対してマイナンバーを提出させ、それを利用して個人や法人の預金口座にマイナンバーを登録します。
なお、3年後の平成33年には、任意である預金口座へのマイナンバーの登録が、義務化されることも検討されています。
こうなると、個人の預金残高が行政機関に簡単に把握されるようになり、プライバシーの侵害の恐れが急速に高まります。