副業がばれる仕組みとマイナンバーについて
平成28年1月から運用が開始されるマイナンバー制度は、税と社会保障の様々な分野に影響を与えることが予想されます。
そこで、以下では、副業が会社にばれる仕組みと、それに対してマイナンバーが与える影響について解説します。
副業が会社にばれる仕組みについて
会社に内緒で副業をしていて本業の会社以外の会社から給与収入を得ている場合、それが本業の会社に副業がばれるのは住民税の特別徴収からです。
以下では、まず、副業が会社にばれる仕組みについて説明します。
給与支払届の市区町村への送付について
副業をしている会社では、従業員に給与を支払うと源泉徴収票を税務署に給与支払届を市区町村に提出します。
ここで、源泉徴収票を税務署に提出しても、税務署から本業の会社に連絡が入ることはありません。
税務署は、納税者が所得税を納めてくれさえすれば、副業をするしないについては無関心なのだそうです。
一方、市区町村に対して副業の会社から給与支払調書が送付されると、市区町村では本業の会社から送付されてくる給与支払調書と副業の会社から送付されてくる給与支払調書の双方の給与収入から所得を計算し、住民税額を計算します。
そして、計算された住民税額をもとに、本業の会社に住民税の特別徴収の依頼書を送付します。
この依頼書に基いて、本業の会社が従業員に対する給与から住民税を天引きで徴収します。
会社が住民税額をチェックしていれば副業がばれる
本業の会社が市区町村から送付されてくる住民税の特別徴収の依頼書に記載されている住民税の金額をよく確認しない場合には、副業が会社にばれることはないでしょう。
しかし、本業の会社の経理担当者が住民税の特別徴収額をチェックしているような場合には、ここから副業がばれます。
副業をしていると本業の会社から支払われる給与額から算定した住民税額より多い税額の特別徴収の依頼がなされます。
その場合、市区町村が税額の計算ミスをしていないとすれば、従業員が副業をして他の会社から給与収入を得ている以外には考えられません。
マイナンバー導入で、会社に副業がばれる仕組みは変わるか
マイナンバーが導入されても、副業が会社にばれる仕組みは基本的には変わりません。
マイナンバーの導入で、市区町村に送付されてくる同一人物の給与支払調書が、同一人物であることの確認作業は容易になります。
しかし、それは本質的な変化でもありません。
現在でも、氏名、住所、生年月日で、給与支払調書の同一性の確認をしていると考えられますが、偽名を使っているとか年の途中で氏名や住所の変更がない限り、現在のシステムでも、十分に正確な対応が可能であるということができます。
よって、今まで本業の会社から給与収入を得ており、それが会社にばれていないのであれば、会社が住民税額のチェックを行っていないことが原因なのですから、マイナンバーの導入によって副業がばれやすくなるということは考えられません。