マイナンバーと健康保険:被扶養者届について
平成28年1月1日に運用が開始するマイナンバー制度は、税と社会保障の分野に大きな影響を与えることが予想されます。
以下では、その一つとして、マイナンバーが健康保険の被扶養者届にどう使われるについて考えます。
健康保険の被扶養者届とは
健康保険には、被保険者と被扶養者があります。
被保険者とは、健康保険料を負担する人のことをいいます。
一方、
被扶養者とは、被保険者の直系尊属(父母、祖父母など)、子、配偶者、孫や弟妹など、被扶養者の一定の親族で、被保険者によって生計を維持されている者をいいます。
被扶養者に該当すると、保険料を支払わなくても、健康保険からの医療給付を受けることができます。
なお、健康保険の被扶養者になるためには、被保険者が健康保険に加入すると同時に、又は、独立して健康保険の被扶養者に該当したことの届出が必要になります。
健康保険の被扶養者になるための要件とは
健康保険の被扶養者となるためには、保険料を負担する被保険者によって生計を維持されていなくてはなりません。
具体的には、被保険者が住民票上の同一世帯に属している場合には、原則として、年間の収入が130万円未満、かつ、被保険者の年間収入の1/2未満であることが要件となっています。
また、被保険者と同一世帯にない場合には、原則として年間の収入が130万円未満かつ、その収入が被保険者からの生活援助金の1/2以下であることが、要件となります。
生計維持認定に関する収入調査はマイナンバーを利用して行われるようになる
さて、マイナンバーが導入されると、被扶養者届には、被扶養者のマイナンバーが記載されるようになります。
この届出をうけた健康保険組合等は、マイナンバーを使って税務所に照会をかけて、被扶養者の前年の収入額を調べます。
また、被保険者については被保険者が健康保険に加入する際、マイナンバーの提供を受けていますので健康保険協会等は被保険者のマイナンバーも把握しています。
そして、健康保険協会等は、このマイナンバーを使用して、被保険者の年間収入についても税務署から情報提供を受けます。
すると、被扶養者の要件である、年間収入が130万円未満、かつ、被保険者の年間収入の1/2以下という基準を満たしているか否かの調査は、マイナンバーを利用して、簡単にできるようになるのです。
生計維持認定に関する世帯調査もマイナンバーを利用して行われるようになる
なお、生計維持認定は、被保険者と被扶養者が住民票上で同一世帯に属するか否かでも変わってきます。
よって、被保険者と被扶養者が同一世帯に属しているかどうかも生計維持認定のためには必要です。
マイナンバー導入前であれば、この調査は届出書に被保険者と被扶養者の住民票を添付させることで行われていました。
しかし、マイナンバーの導入後は、双方のマイナンバーの提供を受けた健康組合等がマイナンバーを利用して市区町村から被保険者及び被扶養者の住民票上の世帯情報の提供を受けて確認します。