マイナンバーと金地金の取引について
金地金(金の延べ棒)取引は、世界に共通する価値を有する金の取引として、昔から根強い人気があります。
この金地金取引も、マイナンバー制度の導入により影響を受けることになります。
以下では、マイナンバー制度が金地金取引に与える影響について考えます。
一定額以上の金地金取引にマイナンバーが必要になる
平成24年1月1日から、貴金属商や地金商が200万円を超える地金を購入した場合には、税務署に「地金等の譲渡の対価の支払調書」を提出することが義務付けられました。
そして、平成28年1月1日から、この「地金等の譲渡の対価の支払調書」にマイナンバーの記載が義務付けられます。
よって、200万円を超える金地金を売却した場合には、売却先にマイナンバーの提出が義務付けられました。
200万円を超える金地金を購入しようとする場合には、事前にマイナンバー・カードを用意するなどの対応が必要となります。
金地金を売却した場合の譲渡所得税について
貴金属商や地金商に金地金を売却して利益を得ると、譲渡所得税の納税が必要になる場合があります。
譲渡所得税の計算方法は、売却した金地金の保有期間に応じて、長期と短期の2種類にわかれます。
金地金の保有期間が5年超の場合の譲渡所得税の計算方法
売却した金地金の保有期間が5年超(長期)である場合の譲渡所得税の計算方法は・・・
- 売却価額から取得価額と売却費用を和を引いて、金地金の譲渡益を出します。
- これに、その年の金地金以外の譲渡所得(総合課税されるもの)を加算し、譲渡所得の特別控除50万円を引きます。
- すると、譲渡所得金額が出ます。
長期の場合には、この譲渡所得金額に1/2を乗じた金額が、課税される譲渡所得の金額となります。
例えば、売却代金が500万円、取得価額が300万円、売却費用が50万円、金地銀以外の総合課税の譲渡所得が50万円とします。
課税される譲渡所得の金額は・・・
- 500万円−(300万円+50万円)=150万円(金地金の譲渡益)
- 150万円+50万円(総合課税のその他の譲渡益)=200万円(譲渡所得の金額)
- 200万円×1/2=100万円が課税される譲渡所得の金額となります。
金地金の保有期間が5年以内の場合の譲渡所得税の計算方法
一方、売却した金地金の保有期間が5年以内(短期)である場合の譲渡所得税の計算方法は・・・
- 金地金の売却代金から、取得費用と売却費用の和を引いて、金地金の譲渡益を計算します。
- 金地金の譲渡益に、その年の金地金以外の総合課税の譲渡益を加算します。
金地金の譲渡益にその年の総合課税の譲渡益を加算した金額から50万円の特別控除を引くと、譲渡所得が計算されます。
短期の場合には、この譲渡所得金額がそのまま課税される譲渡所得金額となります。
金地金取引に与えるマイナンバー制度の影響について
平成28年1月1日から、貴金属商や地金商が税務署に提出する「地金等の譲渡の対価の支払調書」に、マイナンバーの記載が義務付けられました。
よって、金地金取引によって譲渡所得が発生していれば、税務署がそれを簡単に把握できるようになります。
金地金の売却価額が200万円を超えると、必ず譲渡所得税が発生するわけではありませんが、譲渡所得税が発生しているにもかかわらず確定申告を行わないと、申告漏れがすぐに発覚します。
よって、金地金を売却した場合には、所得税が発生するかしないかに十分に留意し、申告漏れがないようにしなくてはなりません。