マイナンバーと国民年金保険料免除について
平成28年1月から運用が開始されるマイナンバー制度は、税と社会保障の様々な分野に大きな影響を与えることが予測されています。
そこで、以下では、マイナンバー制度が国民年金保険料の免除制度に与える影響について解説します。
現在の国民年金保険料の免除制度について
国民年金の第1号被保険者
20歳以上60際未満で 日本国内に住所を有する |
自営業者の方 |
学生の方 | |
パートやアルバイト等で厚生年金んに加入していない方 |
国民年金の第1号被保険者になると、平成27年度で毎月15,590円の国民年金保険料の支払いが必要になります。
年額に直しますと、187,080円ですが、平成27年度の納付率は63.1%で、第1号被保険者全体のうち約37%の人が、保険料を納めていないことになります。
できるだけ避けたい国民年金保険料の未納状態
サラリーマンの方であれば、毎月15,590円という金額はそんなに大きな金額ではありませんが、サラリーマン以外の方で、収入が安定していない方の場合、その金額は結構大きな金額となります。
しかし、保険料の未納が続くと、将来の年金給付が受けられない、又は、受けることができても低額になります。
また、納付率が低いと、障害の状態になった場合に、障害基礎年金の受給ができなくなったり、遺族が遺族基礎年金の受給ができなくなったりします。
よって、経済的に大変な場合でも、国民年金保険料の未納は極力避けるべきです。
国民年金保険料の免除申請のメリットについて
国民年金には、免除制度があります。
この免除制度を利用した場合、免除を受けた期間は、保険料を完全に納付した期間が将来の年金給付に反映される割合を100とすると、免除の段階に応じて50ら87.5の割合で将来の年金給付に反映されます。
未納だと、将来の年金給付には全く反映されません。
また、障害基礎年金や遺族基礎年金の受給要件(全被保険者期間の2/3以上が納付済期間)を算定する際に、免除期間は、例え保険料を全く支払わない場合でも、保険料を完全に納付した期間と全く同様に取り扱われます。
よって、保険料の納付が大変な場合には、免除手続きを行なっておくと、将来の年金の受給額について一定のマイナスの影響はありますが、未納状態と比較すると、随分改善された状態となります。
国民年金保険料の免除申請手続きはマイナンバーでどう変わるか
国民年金保険料の免除制度は、申請者本人、本人の配偶者、本人の世帯主の3者の、申請日が属する年の前年の所得総額に応じて、4段階の免除が設けられています。
そして、その免除の段階は次のとおりです。
- 全額免除 (扶養親族等の数+1×35万円)+22万円以下
- 3/4免除 78万円+(扶養親族等の数×38万円)以下
- 半額免除 118万円+(扶養親族等の数×38万円)以下
- 1/4免除 158万円+(扶養親族等の数×38万円)以下
さて、マイナンバー制度の導入後は、国民年金保険料の免除申請書に、本人及び配偶者、世帯主の3者のマイナンバーの記載が義務付けられるようになります。
そうすると、申請を受け付けた日本年金機構では、そのマイナンバーを利用して、本人、配偶者、世帯主の所得を確認することが可能になります。
今までは、国民年金保険料の免除申請の際には、本人、配偶者、世帯主の3者の所得証明書を添付することにより、申請者が免除申請の要件を満たしているかどうかの確認していました。
しかし、今後は、マイナンバーを利用して所得の確認作業をするようになりますので、より迅速正確な確認が行なえるようになります。
また、申請者にとっても所得証明書の添付が不要になりますので、手間が省けます。