マイナンバーと相続税について
平成28年1月1日から運用が始まるマイナンバー制度は、税金や社会保障の分野に大きな影響を与えることが予想されます。
以下では、その一部として、マイナンバー制度が相続税にあたえる影響について解説します。
数年後にはマイナンバーに対する預金口座の紐つけがはじまる
マイナンバー制度は、導入当初は、預金口座と紐つけされません。
しかし、数年後には、マイナンバーに預金口座が紐付けされることが予想されています。
マイナンバーに預金口座が紐付けされると、コンピューターにマイナンバーを打ち込むと、個人が保有する預金口座のすべてが簡単に検索できるようになります。
銀行口座に紐付けされていないマイナンバーの場合には、相続税に与える影響はそう多くはありません。
しかし、預金口座に紐付けされたマイナンバーの場合には、相続税に対して大きな影響を与えます。
いままでの相続税は脱税を見破るのが難しかった
さて、相続が開始した場合、被相続人が所有していた相続財産を把握することは容易ではありませんでした。
特に、被相続人に隠し預金口座などがある場合には、相続人がその隠し預金口座にある預金をわざと申告しないことにより、簡単に相続税の脱税が可能でした。
また、わざとではないが、相続税の申告の時点で相続人も被相続人の隠し口座を把握していないケースもあり、申告される相続税額が過少申告となる場合も数多く見受けられています。
相続税の調査で一番目をつけられるのが隠し預金口座
税務署が相続税の脱税を一番疑うのが隠し預金口座です。
そのため、相続税の調査の場合には、今までは税務署の職員が被相続人の住所地の周辺の銀行に照会をかけたり、申告書に載っていない金融機関のカレンダーやメモ帳の有無等が調査されました。
しかし、マイナンバーに預金口座の紐つけがはじまると、税務署が被相続人の預金口座を把握することが、非常に簡単にかつ正確になります。
相続税の申告の際に、相続人が隠し口座にある預金の申告を行わなかった場合には、税務署からそれを指摘される可能性が高くなります。
今後、相続税の申告には十分に気を付ける必要がある
無申告を税務署から指摘された場合、
本来の納税額に加え・・・
・50万円までは15%
・50万円を超える部分には20% の無申告税が加算されます。
更に・・・
・1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
・脱税に故意がある場合には、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金 が科されます。
無申告が発覚した場合には、重いペナルティーが科せられます。
よって、マイナンバーの預金口座への紐つけがはじかった場合には、相続税の申告には細心の注意が必要になります。