マイナンバー、法人番号利用で社会保険調査が効率化

平成28年1月からマイナンバー制度が導入されます。

マイナンバー、法人番号利用で社会保険調査が効率化

 

この制度は、税金と社会保障に関する様々な分野に影響を与えるものと考えられます。

 

以下では、マイナンバーが社会保険調査に与える影響について考えます。

法人番号と各分野の事業所番号について

マイナンバーといえば、国民1人1人に付番される12桁の個人番号が有名ですが、法人に対しても13桁の法人番号が付番されます。

 

さて、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入している事業所には、社会保険事業所番号が付番されています。

 

一方、雇用保険の適用事業にも、雇用保険事業所番号が付番されています。

  • 法人番号
  • 社会保険事業所番号
  • 雇用保険事業所番号

これら3つの番号を使えば、社会保険の加入義務のある従業員を社会保険に加入させているかどうかの調査を簡単に行なえるようになります

厚生年金の加入基準の緩和について

2016年10月から、週所定労働時間20時間以上、月額賃金8.8万円以上のパートやアルバイトの方にも厚生年金の加入義務が拡大します。

 

この基準は、最初は従業員501人以上の大企業が対象ですが、対象枠は徐々に拡大していくものと予想されています。

仮にすべての企業で、週所定労働時間20時間以上、月額賃金が8.8万円以上の方に厚生年金の加入義務が生じた場合

週所定労働時間20時間以上というのは、雇用保険の加入義務が発生する基準ですし、月額賃金8.8万円以上というのは、所得税の源泉徴収が開始する金額です。

 

つまり、改正後の厚生年金の加入基準によると、雇用保険の加入基準を満たし、所得税の源泉徴収が行われている人は、厚生年金の加入義務が生ずることになります。

法人番号や事業所番号の役割について

社会保険の事業所番号が分かれば、その番号を専用端末に入力すれば、その事業所の厚生年金加入者が分かります。

 

また、雇用保険の事業所番号が分かれば、その番号を専用端末に入力すれば、その事業所の雇用保険被保険者が分かります。

 

マイナンバー制度が導入され、法人から給与を受ける者は、法人に対してマイナンバーを提出しなくてはなりませんが、そのマイナンバーを利用して法人の従業員のデータベースが作成され、それが法人番号に紐付けされると、法人番号から、その法人の所得税の源泉徴収対象者が分かります。

厚生年金の未加入調査の方法について

厚生年金の加入調査を行う場合、法人番号を利用すれば、

  • 事業所の厚生年金加入者数
  • 事業所の雇用保険加入者数
  • 所得税の源泉徴収対象者数

の3つを同時に調査できます。

 

この場合で、厚生年金の加入義務者は、雇用保険加入者及び所得税の源泉徴収対象者になるはずですから、厚生年金の未加入者がいない場合には、原則として、3つの人数は一致するはずです。

 

しかし、同一の事業所内において、雇用保険被保険者数や所得税の源泉徴収対象者数に比べて、厚生年金加入者の数が異常に少ない場合には、厚生年金の加入義務のあるものに加入をさせていない未加入問題が疑われます。

 

厚生年金の未加入調査の方法について

マイナンバーの法人番号の導入で、これらの調査がコンピューター上で簡単に行われるようになりますので、厚生年金の加入基準の変更とあわせて、今後は、厚生年金保険の未加入があると、より簡単に行政機関に把握されるようになります。

 

充分な注意が必要です。

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