マイナンバーと障害年金、改善効果は!?
平成28年1月から運用が開始されるマイナンバー制度は、税と社会保障に関する様々な分野に大きな影響を与えることが予測されています。
その一つとして、マイナンバーが障害年金に与える影響について考えてみます。
障害年金制度にとって真に必要なこととは
平成18年の統計では、日本全国における障害者の方の数は約744万人となっています。
そのうち、障害年金の受給対象となる20歳以上の障害者の方の数は、約700万人となっており、このうち、実際に障害年金を受けていらっしゃる方の数は、約230万人で、全体の1/3となっています。
社会保障制度の効率的運用といった場合、真に必要なことは、障害年金を受けることのできる方が希望した場合に、その全員があまねく障害年金を受けることができるようにすることだと考えられます。
障害者の方が、障害年金を受けることができるかできないかで、その人の人生は全然変わってきます。
社会保障制度の効率的運用、又は、運用の改善というのであれば、受給可能な方の1/3しか受けることのできない現在の制度を改め、その割合を引き上げるようにすることが必要だと考えます。
マイナンバーが導入されても本質的な部分は何も変わらない
しかし、マイナンバー制度の導入によって、障害者の方が受けることができるメリットと言えば、障害年金の請求手続きに必要となる住民票や所得証明書の添付が不要になるといったことのみです。
確かに、一部の添付書類が不要になることは、障害者の方にとって悪いことではありません。
しかし、障害年金の請求には、診断書の添付や、障害によって初めて病院にかかった日の証明や、病状の変化を記録した証明書等、複雑な書類が数多くなります。
そういった書面作成の手間が、マイナンバー制度の導入によって省けるということはありません。
マイナンバー制度の導入によって省略できるのは、障害年金の添付書類においては、最も簡単な書面に限られます。
よって、それが省略されることによって障害者の方が受けるメリットは僅少です。
マイナンバー導入による障害年金の手続きの簡略化によるメリットは僅少
マイナンバー制度がうたっている社会保障制度の効率的な運用とは、全く枝葉に関することのみで、本質的な部分については全く改善がありません。
この制度の導入によって、障害者全体に対する障害年金受給者の割合が増加することはまずないと思います。
マイナンバー制度の導入による社会保障制度の改善効果は、どのような分野でも似たようなもので、政府の側からするとメリットはあるかもしれませんが、国民の側からすると、手続が多少簡単になるくらいで、享受できるメリットは少ないと言えるでしょう。