マイナンバーを集中管理し、従順化ポイント制度になる!?
平成28年1月から運用が開始されるマインナンバー制度は、税と社会保障制度の効率的な運用という目的を持って導入されています。
しかし、他国の状況などを考えると、この制度には、非常に危険な側面があります。
以下では、マイナンバーが潜在的に保有する危険について解説します。
中国で実施が予定されている政府に対する従順度ポイント制度について
中国では、政府とSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)企業が連携して、国民の従順度をポイント化する制度を設立し、2020年を目途に全国民に参加を義務付けることを計画しています。
この制度が実施されれば、政府を批判していると、低いポイントを付けられ、行政サービスの利用に際して不利益を受けたり、当局に執拗に監視されたりするので、誰も政府を批判できなくなります。
政府にとっては都合の良い制度ですが、自由にものが言えない重苦しい社会が出現します。
一つの番号に多くの個人情報が集積されるようになるとどうなるか
中国の従順化制度は、日本では、明らかに憲法21条第1項の表現の自由や、同条第2項の通信の秘密の規定に違反しますから、このような制度が行われる可能性は、憲法の規定が変わらない限り、ありえないことです。
しかし、日本で最近導入されたマイナバー制度は、最初は、
- 税
- 社会保障
- 災害対策
の3分野に利用範囲が限定されていますが、
その後は、
- 預金口座
- 健康保険
- 運転免許
- 戸籍情報
- クレジット情報
など、様々な分野に利用日分野の拡大が予定されています。
そうなると、マイナンバーに結び付けられる個人情報は膨大な量になります。
1つの番号に、多くの個人情報が集積されるようになると、一つ一つの個人情報は些細なものでも、全体をあわせると、
- 思想信条
- 出自
- 信用情報
- 病歴
等、その個人が秘密にしておきたい個人情報も分かるようになります。
マイナンバー制度が一元管理方式を採用しなかった理由について
幸い、現在の日本では、「行政事務において取り扱われる個人情報を一元的に管理する機関又は主体」が存在すれば、それは憲法13条が保障する個人のプライバシー権等を侵害するので、憲法違反であるという判例(平成8年3月6日最高裁判決)がありますので、マイナンバーは分散管理方式が採用されています。
よって、特定の行政機関が、マイナンバーを使用して個人情報を集積させ、それを一元的に管理し、個人が秘密にしておきたい情報までも把握することは、不可能です。
しかし、上記のような一元管理は、技術的には可能であり、行政手続きの効率的運用という観点から判断すると、むしろ一元管理の方が適しています。
さらに、一元管理を不可能にしているのは、平成8年3月6日最高裁判決で一元管理が違憲だと判断されたからであり、仮にこの判決がなかったとしたら、現行のマイナンバー制度が一元管理方式を採用していた可能性は十分に考えられます。
マイナンバー制度の真の危険について
今後、別の最高裁判決が出て、その判決で一元管理が合憲だという判断が出た場合、マイナンバーを利用した個人情報の一元管理化が行われる可能性は否定できません。
その時には、個人が秘密にしておきたい個人情報が国家に把握されるようになります。
中国で実施予定のポイント制も実施されるかもしれません。
なお、現在の政府が、そのような監視国家・統制国家の実現を利用して、マイナバー制度を実施したとはいいません。
政府広報の通り、税と社会保障制度の効率的運用を目的としているのかもしれません。
しかし、万が一、中国に日本が占領された場合には、中国はこのマイナンバー制度を徹底的に利用して、日本人を管理するでしょう。
また、現在の政府も、マイナンバー制度を利用した国民統制の旨みを覚えると、中国政府のような監視国家に変貌してゆくかもしれません。
マイナンバーには、こういった恐ろしい面があります。