マイナンバー、集中管理による真の危険について
平成28年1月から運用が開始されるマイナンバー制度は、税と社会保障の効率的な運用を目的としており、それだけを見れば、特に導入にあたって問題はないように思われます。
しかし、この制度には、非常に危険な側面があります。
以下では、その危険について解説します。
多額の税金が投入される割には国民のメリットが少ないマイナンバー
マイナンバー制度の導入に当たっては、初期費用が2,000億円〜4,000億円、毎年の運営費が数百億円必要だと言われています。
しかし、この制度の導入によって国民が受けるメリットと言えば、現在のところ、年に1回あるかないかという市区町村役場からの証明書の取得を省略できるといどです。
将来的には、マイナンバーによって作成されるマイナンバー・カードに、健康保険証や運転免許証、ATMカードやクレジットカードの機能が盛り込まれる計画が策定されており、マイナンバー・カードを利用して様々な手続きが可能になりますが、そうなると、詐欺の発生など危険が増大します。
マイナンバー導入当初は、一元管理は行われないが・・・
現在のところ、各行政機関が保有する個人情報は、各行政機関ごとに、基礎年金番号や雇用保険被保険者番号、住民票コードなどの各行政機関固有の番号をもとに、隔離されて管理されています。
現状では、マイナンバーはそれらの固有の番号を引き出す際の共通キーとして使われます。
よって、マイナンバー1つで、年金にする個人情報、雇用保険に関する個人情報、住民票に関する個人情報が、すべて把握されるわけではありません。
それらの情報を引き出すためには、マイナンバーで各行政機関の固有番号を引き出した後、その固有番号によって個人情報を引き出すという2重の手続きが必要です。
その意味で、マイナンバーによる個人情報の一元管理は行われないことになっております。
しかし、すべての行政機関が格別に保有する固有番号をマイナンバーに一元化することは技術的には可能だと考えられます。
マイナンバーの一元管理化が行われない保証はない
マイナンバー制度は、導入当初は、
- 税金
- 社会保障
- 災害対策
の3分野に利用目的範囲が限定されています。
しかし、早くも改正により
- メタボ検診
- 予防接種
- 銀行口座
への利用拡大が決定し、今後も、様々な分野への利用拡大が検討されています。
利用範囲の拡大が進めば、税・社会保障番号として導入されたマイナンバーは、数年後には、導入当初とは全く異なる番号制度に変容している可能性は十分にあります。
その際に、すべての行政機関が格別に保有している個人情報のすべてを、マイナンバーを使って引き出せるようにする改正が行われる可能性は十分にあります。
マイナンバーの真の危険は国家によるプライバシーの把握
マイナンバーの一元管理が行われるようになると、政府の特定の機関がそれを管理するようになる可能性があります。
そうすると、権力者が、自分の政敵を抹殺するために、マイナンバーを使って相手のプライバシーを全て把握し、必要ならば別件逮捕で刑務所に放り込める、ということもできるようになります。
現在の日本では、こんなことは考えられませんが、発展途上国の独裁国などでは、こんなことは日常茶飯事です。
マイナンバーが変容して特定機関が一元化されたマイナンバーを自由自在に利用できるようになると、日本においても、そういった事態が発生する可能性があります。
マイナンバーを使ったプライバシー調査やそれによる別件逮捕等による抹殺が行われるようになると、誰も政府に逆らえなくなりますし、誰も本当のことを言わなくなります。
そういった社会は、健全な社会とは決して言えませんが、マイナンバーは、そういった社会の実現に利用される可能性はあります。
マイナンバーの導入で、ハッカー集団によるマイナンバー流出事件も必ず起こると考えられますが、他人のマイナンバーを利用したなりすまし詐欺や、マイナンバーの流出を便乗した振り込め詐欺が増加すると考えられます。